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5月 03 2015

判例集掲載のご紹介~その2~(判例時報2225号)

当事務所(弁護士稲垣篤史及び弁護士秋元隆弘)が担当し,地方自治体を提訴して勝訴した事件が,判例時報2225号(平成26年8月21日号)P.95に掲載されておりますので,ご紹介いたします。

 

1 事件の表示

損害賠償請求事件

名古屋地方裁判所平成22年(ワ)8591号

平成26年3月13日判決

 

2 判示内容

本件は,愛知県知事から廃棄物処理施設の設置許可を受けこれを建設した事業者(当事務所の依頼者)が,施設完成後に知事による違法な改善命令及び設置許可取消処分を受けたことから,国家賠償法に基づき,愛知県を被告として,損害賠償請求をなした事案である。名古屋地方裁判所は,県が事業者に命じた改善命令は法の要件を欠くなどして違法であり,その違反を理由とする施設の設置許可取消も違法であるとして,知事の職務上の注意義務違反を理由に,県に対し,約12億3000万円及び遅延損害金を賠償するよう命じた。

 

3 判決後の経過

名古屋高等裁判所に控訴されたが,同裁判所による和解勧試により,平成27年3月16日,県が事業者に対し解決金13億8600万円を支払うことで和解が成立した。県の賠償としては過去最高額とのことである(平成27年3月13日付中日新聞)。

 

4 コメント

いわゆる「嫌忌施設」は地元住民に反対される宿命にあります。地元住民の反対運動に対し,行政がどのように対応すべきか(地元住民の生の意思を重視するか,あるいは,法を貫くか)は,難しい問題であり,行政による許認可制度全般が直面する現実的課題と言えます。しかし,社会に必要な施設は,法の要件を備える限り,建設・稼働は許されてしかるべきものです。この点,本件の場合,県は,かつては一旦事業者に産業廃棄物処理施設の設置許可を与えておきながら,その後,地元住民による建設反対運動が高まると,行政指導を強くするようになり,法の予定しない踏み越えた改善命令を下し,最終的に,その改善命令違反を理由に,違法に設置許可を取り消しました。昔から,「行政は間違ったことはしない」という神話がありますが(行政の「無謬性」,「無瑕性」などと言われます。),この判決では,このような「神話」に流されることはなく,客観的な証拠の積み重ねによる事実を基礎として,県の違法行為について的確に認定してもらうことができたと考えております。この基本的判断は,控訴審でも変わることはなく,和解につながりました。

 

先にご紹介した裁判例の事件(議員除名処分取消等請求控訴事件)においてもそうでしたが,司法プロセスを経ることにより,多数決原理(地元住民の多数意思)では危殆に瀕していた依頼者の権利・利益を擁護することができ,「法の支配」の実現に,微力ながら協力できたものと考えております。

 

(文責:弁護士稲垣篤史)

1月 31 2015

判例集掲載のご紹介~その1~(判例時報2210号)

当事務所(弁護士稲垣篤史及び弁護士秋元隆弘)が担当し,地方自治体を提訴して勝訴した事件が,判例時報2210号(平成26年3月21日号)P.36に掲載されておりますので,ご紹介いたします。

 

1 事件の表示

議員除名処分取消等請求控訴事件

名古屋高等裁判所平成25年(行コ)18号

平成25年7月4日判決

 

2 判示内容

本件は,愛知県美浜町議会議員であった者(当事務所の依頼者)が,議会から議員除名処分を下されたことから,美浜町を相手方として,除名処分の取消し,国賠法に基づく慰謝料及び謝罪広告の掲載,未払議員報酬の支払,受領済議員報酬の返還債務不存在を求めた事案である。原審(名古屋地方裁判所)が請求の全部を棄却したことから,控訴した。控訴審は,原判決を変更し,除名処分について,議会運営委員会の「議員に対する本会議での謝罪等」の決定は違法な決定であり,陳謝処分に従わず,陳謝文の朗読を行わなかったという懲罰事由での除名処分は,社会観念上著しく妥当性を欠くとし,除名処分を取り消し,未払議員報酬の支払を認容し,受領済議員報酬の返還債務不存在を確認した。

 

3 判決後の経過

町は最高裁判所に上告したが,平成26年9月5日,上告棄却により,確定。

 

4 コメント

地方議会の内部自治については,基本的には,議会の自律的判断に委ねられるものですが,その裁量を踏み越えた権利の濫用がある場合,違法となります。本件の場合,依頼者である議員は,議会において権力者の疑惑を追及しようとして質疑したところ,その内容が問題視され,これに端を発し,最終的に,議会の多数決(全会一致)により,議員を除名されるに至っております。しかし,議会においては,表現の自由は最大限に保障される必要があるのであって,この観点から見た場合でも,本件の名古屋高等裁判所の判決は,当然の結論であると考えます。

 

司法プロセスを経ることにより,多数決原理では危殆に瀕していた依頼者の権利・利益を擁護することができ,「法の支配」の実現に,微力ながら協力できたものと考えております。

 

(文責:弁護士稲垣篤史)

7月 28 2014

セミナーのご案内

第111回 日本経団連・労働法フォーラム 島根大会

 

総合テーマ 多様なライフサイクルを考える ~全員参加、生涯現役で活力ある地域経済を~

日程・場所等の詳細(PDF) 

10月2日(木)

報告Ⅰ テーマ:高年齢社員の活用を巡る法的留意点

① 高年齢者雇用安定法の概要

・高年齢者雇用確保措置の概要、継続雇用制度における経過措置の概要、無期転換ルールの特例措置

② 高年齢社員活用のための現役世代を含めた賃金・人事処遇制度の見直し・不利益変更の要件等

③ 高年齢社員の活用にあたって生じる法的諸問題・定年退職後再雇用時の問題、再雇用後の更新時の問題(主として雇止め)、その他の問題

④ 定年退職後再雇用に関する規程、労使協定例

・規程、労使協定策定にあたっての留意点

 

岡崎 教行弁護士 (第一東京)

平成12 年法政大学法学部卒
同14 年法政大学大学院修了
同15 年弁護士登録(第一東京弁護士会)
同年牛嶋・寺前・清水法律事務所
( 現 牛嶋・寺前・和田法律事務所) 入所 現在に至る
 
報告Ⅱ テーマ:女性社員等の活用を巡る法的留意点
① 性差別を巡る法的問題点
・賃金差別、男女雇用機会均等法・施行規則・指針の概要、ポジティブアクション、セクシャルハラスメントの防止等
② 育児介護、女性支援等を巡る法的問題点・育児介護休業法の概要、不利益取り扱いの禁止、休業からの復帰、その他の法的問題点等
③ パートタイム、有期雇用等を巡る法的問題点・パートタイム労働法の均等待遇の原則、有期雇用の雇止め・不合理な労働条件の禁止、多様な正社員等
 
木下 達彦弁護士 (第二東京)
平成9年東京大学法学部卒
同17 年弁護士登録(第二東京弁護士会)
同年隼国際法律事務所
( 現 隼あすか法律事務所) 入所 現在に至る
 
 
10月3日(金)
報告Ⅰ・Ⅱに関する質疑討議
共同議長:山中 健児弁護士 (第一東京)
石嵜・山中総合法律事務所
 
共同議長:榎本 英紀弁護士 (第一東京)
石井・榎本総合法律事務所
 
 
パネル討論 テーマ:高年齢社員や女性社員等多様な社員が活躍できる環境づくり
コーディネーター:石井妙子弁護士 (第一東京)
経営法曹会議会報委員長・常任幹事
昭和54 年早稲田大学法学部卒
同61 年弁護士登録(第一東京弁護士会)
同年和田良一法律事務所入所
平成4年太田・石井法律事務所設立 現在に至る
 
パネリスト:古瀬 誠氏 ((株)山陰合同銀行 代表取締役会長)
(一社) 島根県経営者協会会長、島根県商工会議所連合会会頭
 
パネリスト:陶山 秀樹氏 (島根電工(株) 取締役会長)
(一社) 島根県経営者協会副会長、島根県労働委員会使用者委員
 
パネリスト:室崎 富恵氏 ((社福)いわみ福祉会 理事長)
(一社) 島根県経営者協会常任幹事、島根県労働委員会使用者委員

パネリスト:古志野 純子氏 ((株)長岡塗装店 常務取締役)
中国地方産業競争力協議会委員

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