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事務所からのご案内

6月 21 2017

判例集掲載のご紹介~その3~(判例時報2329号、金融・商事判例1509号)

当事務所(弁護士稲垣篤史,弁護士秋元隆弘及び弁護士山中崇裕)が担当して勝訴(一部勝訴)した事件が、判例時報2329号(平成29年6月21日号)P.77,及び,金融・商事判例1509号(平成29年2月15日号)P.38に掲載されておりますので,ご紹介します。この裁判(名古屋地裁平成28年9月30日判決)においては,非公開会社における新株発行の効力発生日から法定の提訴期間1年を経過した後に提起した新株発行無効の訴えについて,信義則上,適法としてもらうことができました(そのうえで新株発行無効判決が下されております。)。新株発行無効の訴えの提訴期間を経過した事案において,起算点をどう考えるか,その他事情を踏まえた信義則上の判断を許すべきかについては,学説も多くあり,裁判例も集積しているところです。詳細な事案は上記各判例集に記載されておりますが,本判決は,新株発行の不存在については狭く解したうえで,無効の訴えの制度の中で具体的妥当性を確保する解決を図ったものと評価できます。

 

(文責:弁護士稲垣篤史)

5月 03 2015

判例集掲載のご紹介~その2~(判例時報2225号)

当事務所(弁護士稲垣篤史及び弁護士秋元隆弘)が担当し,地方自治体を提訴して勝訴した事件が,判例時報2225号(平成26年8月21日号)P.95に掲載されておりますので,ご紹介いたします。

 

1 事件の表示

損害賠償請求事件

名古屋地方裁判所平成22年(ワ)8591号

平成26年3月13日判決

 

2 判示内容

本件は,愛知県知事から廃棄物処理施設の設置許可を受けこれを建設した事業者(当事務所の依頼者)が,施設完成後に知事による違法な改善命令及び設置許可取消処分を受けたことから,国家賠償法に基づき,愛知県を被告として,損害賠償請求をなした事案である。名古屋地方裁判所は,県が事業者に命じた改善命令は法の要件を欠くなどして違法であり,その違反を理由とする施設の設置許可取消も違法であるとして,知事の職務上の注意義務違反を理由に,県に対し,約12億3000万円及び遅延損害金を賠償するよう命じた。

 

3 判決後の経過

名古屋高等裁判所に控訴されたが,同裁判所による和解勧試により,平成27年3月16日,県が事業者に対し解決金13億8600万円を支払うことで和解が成立した。県の賠償としては過去最高額とのことである(平成27年3月13日付中日新聞)。

 

4 コメント

いわゆる「嫌忌施設」は地元住民に反対される宿命にあります。地元住民の反対運動に対し,行政がどのように対応すべきか(地元住民の生の意思を重視するか,あるいは,法を貫くか)は,難しい問題であり,行政による許認可制度全般が直面する現実的課題と言えます。しかし,社会に必要な施設は,法の要件を備える限り,建設・稼働は許されてしかるべきものです。この点,本件の場合,県は,かつては一旦事業者に産業廃棄物処理施設の設置許可を与えておきながら,その後,地元住民による建設反対運動が高まると,行政指導を強くするようになり,法の予定しない踏み越えた改善命令を下し,最終的に,その改善命令違反を理由に,違法に設置許可を取り消しました。昔から,「行政は間違ったことはしない」という神話がありますが(行政の「無謬性」,「無瑕性」などと言われます。),この判決では,このような「神話」に流されることはなく,客観的な証拠の積み重ねによる事実を基礎として,県の違法行為について的確に認定してもらうことができたと考えております。この基本的判断は,控訴審でも変わることはなく,和解につながりました。

 

先にご紹介した裁判例の事件(議員除名処分取消等請求控訴事件)においてもそうでしたが,司法プロセスを経ることにより,多数決原理(地元住民の多数意思)では危殆に瀕していた依頼者の権利・利益を擁護することができ,「法の支配」の実現に,微力ながら協力できたものと考えております。

 

(文責:弁護士稲垣篤史)

1月 31 2015

判例集掲載のご紹介~その1~(判例時報2210号)

当事務所(弁護士稲垣篤史及び弁護士秋元隆弘)が担当し,地方自治体を提訴して勝訴した事件が,判例時報2210号(平成26年3月21日号)P.36に掲載されておりますので,ご紹介いたします。

 

1 事件の表示

議員除名処分取消等請求控訴事件

名古屋高等裁判所平成25年(行コ)18号

平成25年7月4日判決

 

2 判示内容

本件は,愛知県美浜町議会議員であった者(当事務所の依頼者)が,議会から議員除名処分を下されたことから,美浜町を相手方として,除名処分の取消し,国賠法に基づく慰謝料及び謝罪広告の掲載,未払議員報酬の支払,受領済議員報酬の返還債務不存在を求めた事案である。原審(名古屋地方裁判所)が請求の全部を棄却したことから,控訴した。控訴審は,原判決を変更し,除名処分について,議会運営委員会の「議員に対する本会議での謝罪等」の決定は違法な決定であり,陳謝処分に従わず,陳謝文の朗読を行わなかったという懲罰事由での除名処分は,社会観念上著しく妥当性を欠くとし,除名処分を取り消し,未払議員報酬の支払を認容し,受領済議員報酬の返還債務不存在を確認した。

 

3 判決後の経過

町は最高裁判所に上告したが,平成26年9月5日,上告棄却により,確定。

 

4 コメント

地方議会の内部自治については,基本的には,議会の自律的判断に委ねられるものですが,その裁量を踏み越えた権利の濫用がある場合,違法となります。本件の場合,依頼者である議員は,議会において権力者の疑惑を追及しようとして質疑したところ,その内容が問題視され,これに端を発し,最終的に,議会の多数決(全会一致)により,議員を除名されるに至っております。しかし,議会においては,表現の自由は最大限に保障される必要があるのであって,この観点から見た場合でも,本件の名古屋高等裁判所の判決は,当然の結論であると考えます。

 

司法プロセスを経ることにより,多数決原理では危殆に瀕していた依頼者の権利・利益を擁護することができ,「法の支配」の実現に,微力ながら協力できたものと考えております。

 

(文責:弁護士稲垣篤史)

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